京都大学研究用原子炉で長年研究されてきたホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy、以下「BNCT」)のシステム開発が、このたび「令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)」を受賞しました。京都大学名誉教授 小野公二先生(現・大阪医科薬科大学BNCT共同臨床研究所所長)を筆頭に、開発メンバーの一人として当社会長の浅野智之が選ばれたことをお知らせいたします。
この表彰は、文部科学省が日本の科学技術の水準の向上に寄与することを目的に、科学技術分野において顕著な成果をおさめ、現に利活用されている研究開発を行った個人またはグループに対し、その功績を讃えるものです。
当社は京都大学で行われた研究をもとに、BNCTに関わる先生方、中性子照射装置メーカー(住友重機械工業株式会社)とともにホウ素薬剤の開発及びBNCTの実用化に取り組んで参りました。その結果、当社薬剤と中性子照射装置はほぼ同時に世界初の薬事承認を受け、昨年(2020年)6月からは保険診療が開始されています。
BNCTが「がんと闘う人々にとって新たな光となるツール」として選ばれる治療法となるよう、当社は引き続き製品提供を通じてその普及活動を推進してまいります。
■当社が貢献した内容について
従来使われていたBNCT用ホウ素製剤(L-BPAフルクトース溶液)の問題点である安定性を解決すべく、当社はD-ソルビトールを溶解補助剤として使い、独自のホウ素-10同位体濃縮技術と組み合わせることで、安定性が高く保存期間も長いBNCT用ホウ素薬剤を開発し、実用化しました。当社が実用化したホウ素薬剤を用いて、基礎研究、臨床試験を経て世界初の中性子捕捉療法システムの開発に成功したものです。
参考
■文部科学省ホームページ 「令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者の決定について」
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00547.html
https://www.mext.go.jp/content/20210414-mxt_sinkou01-000013957_1.pdf (令和3年度科学技術賞受賞者一覧) ※
※当BNCTプロジェクトについては、科学技術賞受賞者一覧(開発部門)3頁目に掲載されています。
■京都大学NEWS 「文部科学省「令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」に本学から15名が選ばれました」
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news/2021-04-06-1