頭頸部がん治療を知る
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頭頸部がんの治療方法

BNCTとは

BNCTとは、がんに対する放射線治療の一種です。

B:Boron ホウ素 N:Neutron 中性子 C:Capture 捕捉 T:Therapy 療法

BNCTのしくみ

ホウ素(10B)を含む専用の薬剤を点滴することで、ホウ素(10B)ががん細胞に集まります。その後、患部に体外から中性子線を照射します。照射する中性子線は、非常にエネルギーが小さく、人体への影響はほとんどありませんが、ホウ素(10B)とぶつかると核反応を起こし、放射線(アルファ線と7Li核)が発生します。この放射線は、体内では非常に短い距離(細胞1つ程度)しか飛ばないため、ホウ素(10B)を取り込んだ細胞をピンポイントで破壊することができます。

細胞内の動き ホウ素薬剤は正常な細胞と比べて、がん細胞に多く取り込まれる → 細胞内の動き 中性子線の照射により、ホウ素(10B)の核分裂が発生 → 細胞内の動き ホウ素を取り込んだ細胞が選択的に破壊される

BNCTと他のがん治療との違い

従来の放射線治療では、通常の細胞にもダメージを与えてしまいますが、BNCTではホウ素を取り込んだ細胞をピンポイントで破壊するため、身体への負担の少ない治療法として期待されています。
通常の放射線治療では複数回治療のために来院が必要となりますが、BNCTは原則1回の中性子照射で完了する治療です。
そのため、通院による体への負担が少ない治療と考えられます。

BNCTの概要と照射イメージ

1.ホウ素薬剤(10B)を点滴投与 2.中性子照射

BNCTの治療の流れ

  1. 診察・検査

  2. 治療計画用のCT撮影

  3. 治療計画
    (コンピュータによるシミュレーション)

  4. ホウ素薬剤の投与(点滴)

  5. 中性子照射

  6. 経過観察

BNCTの歴史

1932年
英国でChadwickが中性子を発見する
1936年
米国でLocherがBNCTの原理を提唱する
1951~1961年
米国のブルックヘブン国立研究所やマサチューセッツ工科大学においてBNCTの臨床研究が実施される
1968~1975年
日本でBNCTの臨床研究が実施される
2008年
京都大学及び住友重機械工業株式会社が、日本で世界初となるBNCT用加速器の開発に成功する
2012年
日本で世界初となるBNCTの治験が開始される
2020年
日本で開発されたBNCT用医薬品(ホウ素薬剤)が、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果として世界で初めて保険適用となる
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