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STELLA PHARMA NEWS ステラファーマ ニュース
2021年7月15日

第17回日本中性子捕捉療法学会参加報告

2021年7月10日~11日に開催された、第17回日本中性子捕捉療法学会学術総会に当社も参加いたしました。以下のとおりご報告いたします。

■[7月10日]当社共催セミナー「ボロファラン BNCT と[18F]FBPA PET 」[座長:畑澤順先生(大阪大学核物理研究センター)]を開催し、3人の先生方にご登壇いただきました。各先生の講演内容は次のとおりです。

a. “ F‒マイナス法 ” による[18F]FBPA の合成研究:切畑光統先生(大阪府立大学 BNCT 研究センター)
当社も参画しているAMEDでのプロジェクト概要について説明されました。治験開始を目指した非臨床試験の進捗が報告されました。

b. [18F]FBPA の PET 動態解析:渡部浩司先生(東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター)
PET領域におけるコンパートメントモデル※1が紹介されました。FBPA-PETでのBPA取り込み評価を患者さんに適用した場合、どうすれば予測可能となりえるかについて紹介されました。

c. 悪性腫瘍患者を対象とした[18F]FBPA PET 経験:井垣浩先生(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
国立がん研究センター中央病院で過去に実施された、FBPA-PETのがん患者での臨床研究データが紹介されました。PET薬剤投与後、時間経過や腫瘍の種類によっても取り込みの度合いが異なる点などが紹介されたほか、先生の私見として、(これまでに治験が行われていない疾患を対象とした)BNCTの適応拡大にはFBPA-PETが不可欠であると述べられました。

共催セミナー座長、演者をはじめ関係者の皆様、ご参加くださいました先生方、ありがとうございました。

■[7月11日]Plenary Session 「BNCT の保険適用後初期治療経験」佐藤まり子先生(南東北BNCT研究センター)
保険診療開始後の症例が提示されました。1例ではありますが、BNCT治療部位ではない癌が消失するというアブスコパル効果※2を示唆するような症例経験が提示されました。

※1 コンパートメントモデル:薬物動態を簡素化したモデル。体内における薬物の分布を均一と仮定し、体内からの消失速度は薬物濃度に比例するという前提のモデル。
※2 アブスコパル効果:放射線治療または別の種類の局所療法が、標的の腫瘍を縮小させるだけでなく、離れている未治療の腫瘍も縮小させること。アブスコパル効果を誘導するメカニズムは未解明だが、免疫システムが重要な役割を果たすと考えられている。