BNCTホウ素中性子捕捉療法
What is BNCT? BNCTとは?
BNCTとは、放射線治療の一種であり、新しいがんの治療法です。
BNCTのしくみ
ホウ素(10B)を含む専用の薬液を点滴することで、ホウ素(10B)ががん細胞に集まります。その後、患部に体外から中性子線を照射します。照射する中性子線は、非常にエネルギーが小さく、人体への影響はほとんどありませんが、ホウ素(10B)とぶつかると核反応を起こし、放射線(アルファ線と7Li核)が発生します。この放射線は、体内では非常に短い距離(細胞1つ程度)しか飛ばないため、ホウ素(10B)を取り込んだがん細胞をピンポイントで破壊することができます。
BNCTと他のがん治療との違い
従来の放射線治療では、通常の細胞にもダメージを与えてしまいますが、BNCTではがん細胞をピンポイントで破壊するため、身体への負担の少ない治療法として期待されています。
通常の放射線治療では複数回治療のために来院が必要となりますが、BNCTは原則1回の中性子照射で完了する治療です。
そのため、通院による体への負担が少ない治療と考えられます。
BNCTの概要と照射イメージ
BNCTの治療の流れ
BNCTの歴史
- 1932年
- 英国でChadwickが中性子を発見
- 1936年
- 米国でLocherがBNCTの原理を提唱
- 1951~1961年
- 米国のブルックヘブン国立研究所やマサチューセッツ工科大学においておよそ60例の治療を実施
- 1968~1975年
- 日本で悪性脳腫瘍に対する治療を実施
(その結果は米国の治療成績を上回りました。その後も、頭頸部がんやメラノーマを対象に臨床研究が続けられ、日本における臨床研究は500例を超えています。)
- 2008年
- 京都大学及び住友重機械工業株式会社が、日本で世界初となるBNCT用加速器の開発に成功
- 2012年
- 日本で世界初となるBNCTの治験が開始
- 2020年
- 世界初のBNCT用医薬品ステボロニン®について「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果とした製造販売承認を取得